思いつくままを綴る雑記帳

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夢の中に物語あり Part3

「命狩る者、狩られる者」の続きを書きました。
一部、夢の続きからアレンジを加えています。
タイトルは、「母の願いはゆりかごの中で 」です。






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~ 母の願いはゆりかごの中で ~


風、何故風なのか・・それは私達人間には見えないからである。
でも、何かの意識をその風に見出すことが出来る。

それ故に、まどろみの国から吹く風に人は畏怖の念を抱くのである。
人がまどろみの国から吹く風を恐れるようになった、こんな言い伝えがある。

数百年前に、ある王が別の地より、ここエルム=リトに軍隊を率いて攻め入ってきた時の話である。

元々エルム=リトに人は住んでおらず、別の地から流れ着いた者達や船旅の途中に水や食料を調達するために
海岸線に設けられた中継所の周辺に暮らす人々が集落を築き、それらが集まっていくつかの小国を形成していた。

国とはいっても国王がいるわけでもなく、軍隊が配備されているわけでもなかった。
この地に生息する動物たちは、種類を問わず全て体が大きいのが特徴で、大人しい動物が多かった。
少数ながら獰猛な野獣も存在はしていた。
しかし、海岸線付近で生活をしている限り、そんな野獣に出くわすことはなかった。

そんな地に突然、強大な武力を持つ軍隊を率いた、人間の王が押し入ってきたのである。
海岸線に点在していた小国は蹂躙され、全てその王の軍隊に併合されました。

航海術が発達し、まどろみの国の先に広大な手付かずの領土が確認されていました。
それを手に入れようと、その王は軍隊を率いてまどろみの国を超えようとしていました。

人の手が海岸線から奥には伸びていなかったエルム=リトでは、古より続く深い森が海岸近くまで広がっていたので
いくら強大な軍隊でも木々を切り倒しながら進むのは容易ではありませんでした。

そして軍隊の進行が始まって数日したある日、それは突然起こりました。
周りの空気が突然振動し始めました。
気温はみるみる下がり、息が白くなるほどでした。
まどろみの国の奥から巨大な風がいくつもの渦巻く風を身に纏いながらやってきました。
その風は進行してきた人間の王が率いる軍隊を飲み込んで大地を引き裂きました。

海岸線は一変し、王の軍隊は全滅しました。
それから数百年、絶対的な力を持った王を失った人間達は、その惨劇の地を挟んで領土を巡って、争いを続けていたのです。
そんな言い伝えから、まどろみの国の風にはいくつかの種類があり、子供の風は軍隊を飲み込むが、親の風は国を飲み干すとまで言われているのです。


それでは、前回の話の続きから・・・。

風は、母親の胎内に残された子供の命を繋ぐために母親の遺体を、まどろみの国り森の奥に立っている母の木の傍らに運びました。
母の木はまどろみの国に暮らす者達に再生と恵みをもたらす木でした。
風は息の絶えた母親の遺体を母の木の中に運び入れました。

母の木の中は、まどろみの国の地下から吸い上げられた水で満たされています。
まるで、母親の羊水の中に浮かんでいるようです。

しばらくすると、息の絶えたはずの母親の体が脈打ち始めました。
血の気が引きかけていた母親の体に生気が戻ってはいましたが、母親が生き返ったわけではないようです。

いくら風でもまどろみの国に存在しない人間の、しかも母親の胎内で死に掛けている子供を救う方法は
その子供を宿している母親の体を介してしかなかったのでしょう。

いや、そこには別の意図があるように思えます。
母の木の中で浮かんでいる母親の顔はとても穏やかで、ゆりかごの中で健やかに眠る赤子のようです。
まどろみの国に暮らす者の姿は人間の目には見えないでしょう。
しかし、生まれてきた子供には自分の母親が必要です。
そのためにも、この母の遺体が必要だったのではないでしょうか。

風は子供の命が繋がったことを確認すると、すぐに別の木に向かいました。
その木は、母の木からかなり離れており、まどろみの国の住民もあまり立ち寄らない場所にありました。
それは悔いの木と呼ばれ、まどろみの国に害をなしたものが閉じ込められる木でした。
この木も母の木のように中が、まどろみの国の地下から吸い上げられた水で満たされていました。
風は、最初の一撃で引きちぎった子供の父親の体を投げ入れました。
残された片手には、母親の命を奪った太刀をまだ握り締めていました。
最強の命を狩る者と噂された男の末路を感じます。

しばらくすると、先程の母の木の穏やかな反応とは異なり、こちらは激しく肉片をすり潰すように反応し始めました。
風は、その様子を確かめるようにずっと傍らを離れません。
それから数日、風はそこで見守り続けました。
そして数時間が経過した時、悔いの木の中に薄い膜に包まれた生き物のような物が浮かんでいました。
風は、それを持ち上げ地面に置きました。
すると、その時を待っていたかのように、膜に包まれていた生物は膜を切り裂いて外に飛び出しました。

風は、やれやれと言わんばかりにその様子を見ていました。
その飛び出した生物は、狼のようにも見えますが、肩から筋肉が盛り上がりその先に猛牛のような巨大な角が2本生えています。
また、額には縦に見開いた目のようなものが見えます。
いや、それは目ではないみたいです。
その目のようなものは周りを見渡すように、尻尾から後ろ足の先、背中、額へと移動しています。
まるで別の生き物のようですが、その生物と一体になっているようです。
そして、巨大な角の片方の先に、あの太刀がぶら下がっています。

この生き物はなんでしょうか?
風とは違い人間にもその姿は見えるようです。

風はその生き物に向かって、話しかけました。
「おまえは悔いの木によって、新たな命を得てもその闘争心は変わらないのですね。」
「しかし、今はその闘争心が必要なのかもしれません。」

その狼に似た生き物は自分に語りかけてくる目に見えないものを必死に見つけようと走り回っています。
見つけたら食い殺してやると言わんばかりの形相で探しています。

「何をしているのですか?そんなことをしなくてもおまえには私が見えているはずです。」
「その額の目を通して私を見なさい。」

そう言われたその生き物は、額にあった目をぐるっと体中に動かして言われたように風を探しました。
すると、風の姿が見えたのか、その生き物は突然怯える様に丸まりました。

「新たな命を得ても私に命を引き裂かれた事は覚えていたようですね。」
「おまえの命は私によって引き裂かれ、この世界から消滅するはずでした。」
「しかし、おまえの子を宿した母が、その子の命を繋がんがために、子の父であるお前に自ら最後の一撃を加えました。」
「人の手によって絶たれた命を私は消し去ることが出来ません。」
「それは私が我が子の命を守り、繋いでくれることを信じ、お前に何かを伝えたかったのでしょう。」
「おまえの命は、あの子の母の最期の願いを叶えんがために再生されました。」
「今、おまえの子は母の木で命を繋いでいます。」
「おまえは、ここより旅立ち遠く離れた母の木を目指しなさい。」
「言っておきますが、ここはまどろみの国。おまえがいくら獣でも、容易く辿り付けるとは思わない方がいいですよ。」
「それと、おまえの角の先についている太刀。共に再生されるとは、余程、おまえと運命を共にしたかったのでしょう。」
「行け。その命を賭して、あの人がお前に伝えたかった物を見つけなさい。」

風の言葉を聴き終わると、その生き物は一目散にその場から走り去りました。


~ 母の願いはゆりかごの中で ~ 終わり
PerfectionCat
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